ゲーム機や舞台のチケット、マスクにホットケーキミックス。
店頭から消えた品物が、フリマアプリやオークションサイトで高値で売られているのを見たことはありませんか?
そのような品物は転売品と呼ばれ、出品者は定価で仕入れた品物の値段を吊り上げることでその差額により多くの利益を得ています。
絶対に手に入れたいから、仕方ない、と購入したくなるかもしれませんが、このような出品者から購入するのはやめておいたほうがいいでしょう。
この記事ではなぜ転売品を買ってはいけないのか、そのリスクについてご説明します。
転売する側を増長させ、更なる転売を招いてしまう
転売での利益を目的に商品を求める転売屋(転売ヤーとも)は、同じ商品を多数買い占め小売店の在庫を干上がらせます。
たとえばゲーム機など、本来の消費者であれば1人1台購入すれば十分な商品をいくつも買い求めるので、自身が使用する目的で購入する正規のユーザーに届かなくなってしまいます。
入手が困難になることで、高額転売に手を出してでも欲しいと思う方もいるかもしれません。
ですが、ここで転売屋に利益を与えるとその商品や企業は「儲かるもの」だと認識され、転売目的の購入に拍車をかけることになります。
より入手困難になってしまうのです。
転売屋は転売屋同士で売れるものの情報をやり取りしています。
あなたが買った商品は「儲かる」という情報が、あっという間に広がるでしょう。
そうなれば益々その商品の購入は困難になり、企業は更なる転売対策にコストを割かなければならなくなります。
企業に利益が還元されない
高額転売で支払った料金はどこへいくのでしょうか?
転売屋は定価で購入しているのですから、企業には入りません。
努力をして商品やサービスを作り上げた企業は利益を得られず、買占めをしただけの転売屋が懐を温めることになります。
それだけでなく、転売屋が新たな商品を仕入れる資本になる可能性すらあります。
加速する転売に企業は更なる対策を求められ、本来払わなくてよかったはずの費用を払うことになるかもしれません。
店頭での整理券配布や購入履歴の確認など、転売対策にはコストがかかります。
新たな商品やサービスを作り出すのに使えたかもしれないリソースを、転売対策のために消費してしまうのです。
新商品は提供されず、既存商品は手に入らない。
そうした状態は消費者の興味を削ぎ落し、コンテンツを停滞させてしまいます。
もし転売屋が存在せず、商品を求める人が全員定価で手にできたらどうなるでしょうか?
消費者は余剰資金をグッズなどに使え、もっと企業に還元されるのではないでしょうか。
転売屋はそうした健全な経済の動きを乱し、市場を停滞させます。
転売屋から購入することは彼らの悪質な商売に加担することになりかねません。
無在庫販売も多く、本当に届くかわからない
また、価格以外のリスクもあります。
転売屋はよく商品を手元にないままフリマアプリなどに出品し、先に売買契約を結んでしまう無在庫販売という手法を使います。
手元にない商品の出品は大抵のアプリにおいて規約で禁止されているのですが、このような出品は後を絶ちません。
質の悪い出品者の中には、企業の発売開始より先に出品しているケースまであります。
売ったほうも商品を持っていないため、購入したところで本当に届くかはわかりません。
購入が確定してから仕入れる仕組みなので大幅に発送が遅れたり、届かなかったりといったトラブルになる恐れが大きいといえます。
保存状態が不明で、安全性に疑問がある
転売屋は正規の取扱店ではないので、適切に商品が管理されているかは疑問の残るところです。
特に食品の転売は冷凍食品が溶けた状態で届くなどトラブルが多く、安全性への不安が大きくなっています。
小麦粉など常温で届く食品は保存〜輸送の過程でパッケージが傷つくこともあり、そこからダニなどの虫が侵入する恐れもあります。
どこでどのように保存されていたかわからない転売品を買うことにはリスクがあるということを覚えておきましょう。
お買い物は正規の取扱店で
このような悪質な転売品は、企業や消費者に負担をかける存在でありながらも規制が追い付かず、世の中に蔓延しています。
あるいは法で規制されている商品であっても、転売屋は複数のアカウントを使い分けるなど巧みに監視の目を潜り抜け出品をしています。
アプリ提供側も通報を受けて対処するなどの措置を講じていますが、万全とは言い難いのが現状のようです。
こうした転売をなくしていくのに一番効果的なのは、消費者が転売品を買わないことです。
一人ひとりが転売からは買わない、を徹底すればいずれ転売屋は「儲からない」と判断し、その商品や企業からは撤退していくことでしょう。
転売屋がいなくなり市場が正常に働くようになれば、商品やサービスを多くの人が安全に楽しめるようになります。
高額な転売品を買うことは、自分が損をするだけでなく転売を阻止しようとしている企業やほかの消費者の努力を無駄にしてしまうことにもなります。
自分さえよければそれでいいという行動が、商品や企業を衰退させてしまうかもしれないのです。
ぜひ転売品は買わず、正規の取扱店で安心安全なお買い物を行いましょう。
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