豆腐は、100円前後というお求めやすい価格で手に入る、料理のバリエーションが広がる優れた食材です。日々の食卓に欠かせない存在であり、味噌汁や鍋料理、麻婆豆腐、さらには冷ややっこなど、年間を通して多彩なメニューに活用されています。大豆を原材料としているため、植物性タンパク質を効率的に摂取でき、健康的な食生活に役立ちます。
スーパーではさまざまな種類の豆腐が並び、ほとんどが100円前後で購入可能ですが、中には30円前後という低価格な商品も見受けられます。豆腐はすべて大豆から作られるため、安価な豆腐も品質が同じと思いがちですが、安いのには安いなりの理由があります。
ここからは、豆腐の製造工程と、購入時に注意すべき豆腐の特徴について詳しく解説していきます。
豆腐とは
豆腐とは、煮た大豆から抽出した搾り汁(豆乳)に、にがりなどの凝固剤を加えて固めた加工食品です。木綿豆腐、絹ごし豆腐など、製法や仕上がりの違いによっていくつかの種類が存在し、各タイプごとに食感や栄養成分に若干の違いがあります。以下、それぞれの種類についてご説明いたします。
木綿豆腐
木綿豆腐は、専用の型箱に布を敷いた上で豆乳を流し込み、圧搾と成型の工程を経て作られます。表面に現れる布目が名前の由来となっており、脱水と成型の過程で水溶性ビタミンが多少失われるものの、豊富なタンパク質、カルシウム、鉄分を含み、しっかりとした食感が特徴です。
ソフト豆腐
ソフト豆腐は、木綿豆腐用の型箱に豆乳を流し込んだ後、軽く圧することで仕上げられるもので、木綿豆腐と絹ごし豆腐の中間の食感を持っています。
絹ごし豆腐
絹ごし豆腐は、より濃厚な豆乳と凝固剤を用いて、絹ごし専用の型箱でゲル状に固めた後、水にさらして仕上げるタイプです。脱水工程を行わないため、木綿豆腐に比べて水溶性ビタミンが多く残っています。
充填豆腐
充填豆腐は、絹ごし豆腐と同じ濃厚な豆乳を使用し、冷却後に凝固剤を加えて合成樹脂製の角型容器に充填、加熱成形してから冷却することで作られます。スーパーで見かけるパック入りの豆腐はこのタイプで、水分が抜けた状態になっており、衛生面や保存性に優れているのが特徴です。
高野豆腐
高野豆腐は、豆腐の水分をほとんど取り除いた状態の乾物です。昔は、冬の晴天が多い地域で凍結と乾燥を交互に繰り返して作られていましたが、現代では工場で凍結・解凍工程を経て製造されています。栄養が凝縮され、カルシウムやリンなどのミネラル、ビタミンEやタンパク質が豊富なため、健康食材として注目されています。
買うべきではない豆腐とは
前述の通り、豆腐は「大豆のしぼり汁(豆乳)+にがりなどの凝固剤」というシンプルな原材料で作られています。つまり、これら2つの成分以外が加えられている豆腐は、購入する際に注意が必要です。豆腐の原材料表示をご覧になったことがあるかと思いますが、大豆と凝固剤以外に添加されがちな成分として有名なのが、「消泡剤」です。
消泡剤とは
大豆に含まれるサポニンという成分は、混ぜると石鹸のように泡立つ性質があります。大量生産の過程で、この泡立ちを抑えるために添加されるのが消泡剤です。大量生産を安定させるためには欠かせない添加物ではありますが、もし消泡剤を使用せずに製造した場合、気泡が多くなり見た目や食感に悪影響が出るほか、空気と触れることで品質の劣化が進む可能性があります。
また、消泡剤は食品添加物の中でも「加工助剤」に分類され、最終的に食品中に残留しないとされています。そのため、通常は人体への危険性は低いとされていますが、長期的な摂取や他の添加物との相互作用については未解明な点も多いです。結局のところ、消泡剤は大量生産の安定化を目的として添加されるものであり、私たちの体にとって必要不可欠な成分ではありません。したがって、できれば消泡剤が添加されていない豆腐を選びたいところです。 これは豆腐だけでなく、油揚げや厚揚げなどの大豆加工食品にも当てはまります。
買うべき豆腐とは
近年、製造技術の向上により、消泡剤を使用せずとも泡が立たない設備を導入しているメーカーが増えてきました。その結果、スーパーでも消泡剤不使用の豆腐が手に入りやすくなっており、購入時には原材料表示をしっかり確認することが重要です。下記は、私が普段選んでいる豆腐の原材料表示の一例です。
また、豆腐の価格は使用される大豆の産地によって大きく左右されます。一般的に「輸入大豆」を使用した豆腐は安価に製造される一方、「国産大豆」を使用した豆腐は高価になる傾向があります。日本で流通する食品用大豆の多くは輸入品であるため、輸入大豆を用いた製品は低コストで作られます。しかし、輸入大豆には以下のような懸念があります。
・日本で禁止されている遺伝子組み換えが行われている可能性がある
・日本に届くまでの過程で、防腐剤・防カビ剤が使用されている可能性がある
体に取り入れる食品である以上、これらの懸念点を抱えるものを長期間摂取するのは抵抗があるかもしれません。可能であれば、国産大豆を使用した豆腐を選ぶことが望ましいです。ただし、「国産大豆使用」と表示されていても、その割合が明記されていないケースが多いため、一部だけ国産大豆が使われている場合もあります。よって、国産大豆100%使用の豆腐の方が安心であると考えられます.
まとめ
豆腐は、日常の食卓に欠かせない存在であり、手頃な価格で入手できるため、あまり選び抜く機会がないかもしれません。しかし、毎日摂取する食品である以上、購入時に少し注意を払うことが健康維持につながります。改めて、豆腐を選ぶ際のポイントを以下にまとめます。
・消泡剤不使用のもの
・国産大豆使用のもの(できれば100%)
この情報が、皆様がより安心して豆腐を選ぶ際の参考になれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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