よく分からずには買ってはいけない「無線中継器」の特性上の問題

皆さん自宅のインターネット環境は快適でしょうか？
一人暮らしで１部屋のみで住んでいる場合には特に不自由はないでしょう。

しかし、家族で一軒家や３LDK以上のマンションなどに住んでいる場合にはどうでしょう？
インターネット用の無線ルーターが家の中心に配置されていればまだ良いのですが、電話線の都合でそこまで良い位置に置けない。
そのため、近くにある部屋のインターネットは快適だけれど、無線ルーターから遠い部屋の場合には不快的な思いをしている人もいることでしょう。

さて、そんな家の隅々までワイヤレスのインターネット通信が届かないという人に便利なアイテムである無線中継器についてご紹介します。

インターネットのエリアを広げる無線中継器

多くの人は無線中継器とは何かをよくご存じではないことでしょう。
しかし、名前のそのままの機能を持つ商品になります。

無線で通信されているインターネット回線をこの装置で中継する。
それによって、今まではインターネットができなかったエリアでもワイヤレスで接続することが可能になるのです。

無線ルーターを利用する人の多くが抱える悩みと言えば、速度が遅い・・・よりも無線が届かない場所があることです。
だから、この中継器はその問題を解決できるという画期的な商品な訳です。

が！！

安易に無線中継器を買ってはいけません。

同時通信はできない無線ネットワーク

確かに、使えているときは非常に便利ではあるのです。
しかし、無線中継器の特性から通信速度が大幅に落ちることになります。

無線ルーターのデータ通信は、2.4GHz帯や5GHz帯に色々なチャンネル(周波数)があるのですが、機器に設定できるチャンネルは1つのみです。
この１つのチャンネルで接続されたすべての機器の通信が行われます。

そして、この１つのチャンネルでは複数の通信を同時に送信することができません。（無線電波の特性です。）
利用者の立場から見ると様々な機器が同時に通信しているように見えるのですが、実際には順番に通信をしているのです。
もし同時に通信しようものなら、通信同士が衝突してしまいます。（通信データが無駄になります。）

それを避けるために、無線ネットワークでは、順番に並べて通信をしています。
そして、もし衝突する可能性がある場合、それを避けるために新たに順番の並び替えを行います。
通信が増えれば増えるほど衝突の可能性が増え、それを避けるために更に速度を落とす結果になってしまうという悪循環が発生するのです。

二倍の通信が必要な無線中継器

そして、今回ご紹介しているが無線中継器です。
この機器を使用した場合でも、同じ１つのチャンネル(周波数)で通信します。
無線中継器は1台で２つのチャンネルを使えるわけではありません。

そのため、実際の無線中継器を利用した通信を考えてみると下記のようになります。

【通常の通信】
送信側の機器　→　無線ルーター ＝　インターネット

この時の通信は1回のみで済みます。
しかし、中継器を使った場合は・・・

【中継器を使用】
送信側の機器　→　無線中継器　→　無線ルーター ＝　インターネット

シンプルな違いです。2回の通信が必要になります。
つまり、その分だけ無線ネットワークを占有する時間が長いのです。

そして、その間は他の機器が無線ルーターと通信できる訳ではありません。
直接選でつながっているわけではないので、どの機器がどの機器に影響を与えるのかが全くの未知数なのです。
未知な部分に関しては、通信の衝突をすべて避けなくてはならない。
その結果、全てのネットワークの通信を抑えるしかない。
それが無線通信というものです。

そして、その問題に対して更に足を引っ張るのが無線中継器です。
自宅のインターネット環境を改善したいからせっかく導入した機器がインターネット環境を悪化させてしまうという逆の結果を生みます。

だから、安易に無線中継器は買ってはいけません。

そうは言っても、インターネットの回線が太く、速度に問題ないからという人もいるでしょう。
しかし、元の回線が光回線で太いからと言って、自宅の無線ルーターの最大通信速度が増えるわけではありません。
最もボトルネックになっている個所の影響を受けるのがネットワークなのです。（元の回線が太いとか関係ありません。）

更に無線中継器を使っていると他の問題も発生します。
それは、無線ルーターが高級品であっても安い無線中継器を使うと、その先に接続されている機器の通信速度と接続台数が無線中継器の上限に抑えられてしまう点です。

古い無線規格の無線中継器と最新の無線ルーターを組み合わせた場合ですが、無線中継器の方の古い規格での通信が行われます。
その結果、機器の特性によって通信速度を遅くしてしまう中継器が、その無線規格が古いことにより更に速度を起こすという事態になるのです。（せめて性能が高くて無線規格の新しい無線中継器を選びましょう。）

まとめ

さて、今回は無線ネットワークのエリアを拡大する無線中継器についてご紹介させていただきました。
少し難しい話になってしまいましたが、伝えたいことは下記の通りです。