心配事があると、ついついそのことばかりを考えて不安になり、夜も眠れない経験をしたことは誰にでもあるでしょう。
ただ、それが長く続くと不眠症などになり、薬を頼らざるを得なくなってしまいます。
「不安」が続くと
解決しがたい「不安」や「病的な不安」で薬がなければ、社会生活さえままならない人がいるのも事実です。
動悸や胸がつまる、息苦しい、吐き気や、めまい、ふるえなどの体の症状がおこり、これを重大なことと考え不安は増し、ついには悪循環になってより強い不安を起こし、もとの状況の解決ができなくなる。
これは、病的な不安で、以前は「自律神経失調症」あるいは広い意味で「心身症」などと呼ばれていましたが、最近では「パニック発作」と呼ばれています。
このような反応を「不安のために起きた」と納得でき、その後発作がなければ薬は不要ですが、パニックを何回も繰り返し、また発作が起こるのではないかという不安が1ヶ月以上も続き、社会生活が送れなくなってしまう、ということがあります。
この状態は、「パニック障害」と呼ばれており何らかの治療が必要な場合が出てきます。
依存が強くなると
不安や強迫感などを主体とする神経症(ノイローゼ)に用いる抗不安剤は、マイナートランキライザー(緩和安定剤)あるいは、単に「安定剤」と呼ばれています。
その中で、比較的速効で、効果持続時間の短いものが、睡眠剤として用いられます。
気軽に処方されていますが、依存症に陥りやすく、名前に似合わずその害は大きいのです。
素早く眠れ、目覚めがよい睡眠剤は、特に依存になりやすい傾向にあります。
その典型が商品名「マイスリー」や「ハルシオン」です。
深酒で記憶がなくなるように、それらを使うと、途中で目覚めたときに一見普通に行動しているのに、本人は全く記憶していないことがあります。
使い続けていると、使い始めよりも効いている時間が短くなって夜中に目が覚め、眠れなくなり、同じ効果を得るために増量が必要になります。
さまざまな睡眠剤の薬害
先に紹介した商品名「マイスリー」や「ハルシオン」の薬剤は、ベンゾジアゼピンといいます。
睡眠剤のベンゾジアゼピンは、脳内に働くだけでなく、末梢の細胞、たとえば免疫に関係するリンパ球や、単球などの白血球にも働きます。その結果、免疫細胞が眠ってしまいます。
そうすると免疫力が弱まって、ウイルスに感染しやすくなり、がんも出来やすくなります。
そのほか、メラトニン系の睡眠剤のラメルテオン(商品名「ロゼレム」)も免疫を抑制します。
免疫を抑制する薬剤は、すべて感染症とがんを増やします。
危ない睡眠剤
代表的な睡眠剤とその薬害をみてみましょう。
(超限定使用のみ)下記の3つを除く 種々のベンゾジアゼピン剤
→うつを2倍に増やす。死亡率が25%増加する。
以下、薬剤・一般名・「商品名」の順に記載。
(危険)
ベンゾジアゼピン剤
・トリアゾラム・「ハルシオン、アサシオン、アスコマーナ」
→超短時間型、依存が強い、健忘、錯乱、攻撃性も増す。
・ゾルピデム・「マイスリー、ゾルピデム」
→超短時間型、健忘多い、呼吸抑制強い、突然死もあり。
・フルニトラゼパム・「サイレーズ、ビビットエース、ロヒプノール」
→作用が強力、高齢者が夜間転倒事故を起こしやすい。
(安全とはいえない)
メラトニン系睡眠剤
・ラメルテオン「ロゼレム」
・オレキシン受容体拮抗剤「ベルソムラ」
→いずれも依存性があり、免疫を抑制する。安全とはいえない。
不安の原因を見直す
不安や不眠があるといっても、本当に薬剤が必要な人は限られています。
医師は気軽に処方していますが、他人にも理解できるような不安や不眠に睡眠剤は基本的に不要です。
むしろ薬の服用は、判断力を悪くし、問題解決を一時棚上げにして、本当に解決しなければならない問題はいつまでも続いてしまうことにもなりかねません。
薬の服用をはじめたきっかけの不安は、現在でも続いているでしょうか?
症状が安定している人は、主治医と相談しながら、少しずつ薬の量を減らし、服用の間隔をあけていく努力も必要でしょう。
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