買ってはいけない冷風扇　その理由は？

最近は地球温暖化の影響なのか、夏になると、気温が36度を超え、40℃近くになることも珍しくなくなりました。そんな暑い夏をしのぐためには、エアコンは欠かせません。

最近建設されたマンションでは、どの部屋にもエアコンを取り付けられるのは当たり前ですが、少し古いマンションになると、今ほどエアコンが必需品ではなかったため、エアコンを取り付けられない部屋があったりします。

かといって、扇風機だけでは心もとないですね。

そんなときに、ネット検索してみると、冷風機とか冷風扇がヒットすることがあります。

商品説明を見てみると、なかなかよさそうなことが書いてありますが、本当に大丈夫でしょうか。

今回は、冷風機や冷風扇について、見ていきます。

冷風機とは？

「冷風機」と「冷風扇」。漢字一字違いですが、実は、「エアコン」と「扇風機」が違うのと同じくらい違います。

そこで、まずエアコンの仕組みを確認しておきましょう。

エアコンは室内機と室外機に分かれていますが、室内機にも室外機にも｢熱交換器｣という部品が入っています。また、室内機と室外機はパイプでつながれていますが、パイプの中には「冷媒」という物質が入っています。

エアコンが部屋を冷やすメカニズムは、イメージ的には次のようになります。

1．室内機の熱交換器が、室内の空気の熱を奪う。

2．熱を奪われた空気、すなわち、涼しくなった空気が室内に放出される。

3．熱交換器が奪った熱は、パイプの冷媒を介して、室外機の熱交換器に運ばれる。

4．熱が室外機から放出される。

冷風機は小型で移動可能でありながら、エアコンで使われている熱交換器を使用しています。商品としては、家庭や恒常などで使われるスポットクーラーや、アウトドアで使われるポータブルクーラーなどがあります。

冷風機は、熱交換器を使用しているので、エアコンと同様の冷却機能が期待できます。しかし、1台で室内機と室外機を兼ねているため、冷風機の場合は、熱が冷風機本体から放出されることになります。そこで、一般家庭で冷風機を使用するためには、熱を窓から逃がす排気ダクトが必要になります。

では、冷風扇とは、どの様な商品なのでしょうか。

冷風扇とは、水の気化熱を利用して周囲の温度を下げる商品です。

気化熱というのは、液体が気体になるときに必要となる熱です。具体的には、熱を奪って気体になるので、周囲の温度が下がります。

たとえば、夏によく見かける打ち水も気化熱の効果を期待しています。また、野外で汗をかいているときに風が吹くと涼しく感じますよね。周りの空気が入れ替わることもその一因ですが、気化熱の作用も加わっています。

では、冷風扇はどの様に気化熱を利用しているのでしょうか。

冷風扇は、内部にフィルターがあり、そのフィルターに水を含ませています。冷風扇が送り出した風がフィルターを通過するときに水分が蒸発し熱を吸収します。それで風が涼しくなります。

冷風扇は、エアコンのような設置工事は必要ありません。どこへでも手軽に移動させることができます。また、冷風機のように、排気ダクトの心配をすることもありません。購入して、水を入れたらすぐに使用することができます。

また、エアコンを使用すると体が冷えてしまう方、エアコンが苦手の方にも向いているのではないでしょうか。

商品も小型のものであれば卓上におくこともできます。最近は、片手で持てる小型の扇風機も普及している時代です。卓上の冷風扇であれば、扇風機以上の活躍を見せてくれることでしょう。

また、使用する電力がエアコンほど多くないので、電気代も安くつくという魅力もあります。

ふつうのエアコンを設置できない部屋用に、エアコンの代わりを期待して購入すると、おそらく期待外れになることでしょう。

その理由はいくつかあります。

1．気化熱を利用しているので、熱交換器を使用している機器ほど冷えない。

2．水を蒸発させる気化熱を利用しているので、湿度が上がる。

ひとつ目の点は、冷風扇は、閉め切った部屋全体を冷やす機器ではなく、少し涼しい風が吹く扇風機です。扇風機は風に当たっていなければ、涼を取ることができません。それと同じで、冷風扇も風に当たっていなければ涼しくなりません。

部屋全体を冷やしたいと思っても、当てが外れることになります。

次に、水の気化熱を利用しているため、結構水を蒸発させます。空気中の水分が増えるということは、湿度が上がるということになりますね。商品によっては加湿効果を謳っているものもありますが、日本の夏はそうでなくてもジメジメすることが多いので、これ以上加湿が必要でしょうか。

つまり、エアコンが設置できないのでその代わりに使いたいという用途には向いていないので、冷風扇は買ってはいけません。

通常のエアコンは設置できないが、エアコンなみの機能が欲しい場合は、ウィンドウエアコンか冷風機を検討した方がよいでしょう。

冷風扇は、ふさわしい場面で使用すれば、良い商品です。

しかし、エアコン代わりに使用できる商品ではありません。

ロケーションや目的に合わせた機器を使用して、快適な夏を過ごしたいですね。